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Mr.Children『重力と呼吸』(byすいとんbot)

Mr.Children『重力と呼吸』 トイズファクトリー 2018年10月3日発売
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[Mr.Children『重力と呼吸』CM]
[SPOT-A]


[SPOT-B]

[SPOT-C]


【収録曲】
①Your Song ★★★★
②海にて、心は裸になりたがる ★★★★
③SINGLES ★★★★★+1
④here comes my love ★★★★★
⑤箱庭 ★★★★
⑥addition ★★★★
⑦day by day(愛犬クルの物語) ★★★★★
⑧秋がくれた切符 ★★★★
⑨himawari ★★★★★
⑩皮膚呼吸 ★★★★★
総評:★★★★

 本作はMr.Childrenの19枚目(事実上17枚目)のオリジナルアルバムである。前作『REFLECTION』から3年4ヶ月ぶりとMr.Children(以下ミスチル)のアルバム発売の間隔としては過去最長となった。なお、アルバムタイトルが漢字・平仮名表記になったのは1996年の『深海』以来22年ぶり。
 本作の詳細に関しては発売13日前の2018年9月20日0時まで解禁されなかった。
[解禁前の表示]
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 詳細解禁の3日前には公式HPに『10691059』という暗号(上の画像(ネットからの拾い画像)を参照)が表示され、詳細解禁までのカウントダウンが行われていたが、Twitterの我がTLではその暗号の意味について様々な憶測が飛び交っていた。例えば「10月6日からツアーが始まりそれは全59公演行われる」であったり「10曲69分、10曲59枚の2枚組」など様々飛び交っていたが、いずれも不正解だった。私含め、誰一人として『10691059』がアルバムタイトル『重力と呼吸』を意味しているとは予想できなかった(というか予想不可能)。
 本作は全10曲、収録曲48分とかなりコンパクトな内容となっている。前作発売後に発表された新曲のうちヒカリノアトリエ」「忙しい僕ら」「お伽話」「こころ」は未収録となり、コンセプトアルバムとなっている。そして、全体的に王道から脱したかつてないほどの”スルメアルバム”となっている。・・・というのも初めて本作を聴いた際は内心「ん?」と感じ、イマイチピンと来なかった。が、しかし聴けば聴くほど、本作の魅力を感じるようになり、発売から1週間足らずで大好きな作品となった。

①Your Song
[Mr.Children「Your Song(MV)」]
 
[Mr.Children「Your Song(Original Story)」]

 2018年9月20日のアルバム詳細解禁と同時にMV(Short ver.)が解禁された。ネット上でも同じ意見の書き込みがあったが、歌い出しやアウトロ部分の桜井和寿のシャウトは何だかONE OK ROCKのTakaを彷彿とさせる印象を受けた。調べてみると2017年4月23日、ミスチルとワンオクは対バンをしており、その後、桜井、鈴木英哉、Takaが3人で食事をした際の写真が公開されている。
[食事会の際のスリーショット]
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 ズラズラと述べてしまったが、このようにMr.ChildrenONE OK ROCKの交流もあり、本当に同バンドから影響を受けているのかもしれない。そして楽曲自体はそこまでキャッチ―ではなく、バンドサウンド主体にシンセサイザーが加わっている印象だ。アルバム全体と同様、初めて聴いた際のインパクトはそこまでなかったが、聴けば聴くほど味が出てきて、気づいたらハマっていた。この曲のタイトルは同時発売の全曲詩集のタイトルにも起用されている。
 MVは東京日比谷のビルの屋上で撮影されたと言われているが、桜井は終始ハンドマイクではなく、スタンドマイクで歌っており、2002年の『IT'S A WONDERFUL WORLD』期以前の彼を彷彿とさせる。
 歌詞に着目するとタイトルの如く、大切な人に宛てた内容になっている。「君と僕が重ねてきたたくさんの日々は今となればこの命よりも失い難い宝物」という歌詞は、大切な人と別れた直後のリスナーの方が聴くと本当に涙が溢れそうになると思う。
 そして「時に窮屈そうに囚われている考えごとになんてことのない一言でこの心を自由にしてしまう」という歌詞も王道から脱した本作の雰囲気にもリンクしている気がする。
 アルバム発売のインタビューにて桜井は今回はあえて歌詞には力を入れていないという主旨の発言はしていたが、やはりそれでも印象的な歌詞はあり48歳となった今も天才ポエマーであると思う。

②海にて、心は裸になりたがる

 バンドサウンド主体のポップロックナンバー。”ポップロックナンバー”とは記載したが、「youthful days」「箒星「擬態」「fantasy」ほどの王道さは見られない。ただ、「海にて、心は裸になりたがる」というタイトルの通り、曲全体からは開放感や爽やかさが漂っていて聴いていて心地良い。ちなみに1回ドライブしながら聴いてみたが、かなりマッチしていて最高であった。さらにはラスサビでは転調しており本当にリスナーの興奮はこの曲の中ではMAXに到達すると思う。
 歌詞に目を向けると教訓的な内容のフレーズが目立っている。「重箱の隅をつつく人、その揚げ足をとろうとしてる人、画面の表層に軽く触れて似たような毒を吐く」は何だかTwitterの”炎上”騒動を指している歌詞に感じるのは私だけではないはず。
 そして一際印象的だったのが、「対照的と思っていても実はあちこちが似ているよ。今心は裸になりりたがっているよ」「嫌なやつだと考えていても実はちょっぴり気になっているよ。今心は裸になりたがっているよ」という部分。「あの人と自分は何だか合わない」と私自身生活を送っていると思うことがあるのだが、そんな気持ちに対する教訓的なメッセージのように感じられる。

③SINGLES
[Mr.Children「SINGLES(MV)」]


 テレビ朝日系ドラマ『ハゲタカ』主題歌に起用されたが、ドラマ放送時では最後までフル解禁や先行DL配信はされず、アルバム発売までお預け状態となった。ただ今思うとそれで良かったと思っている。アルバム発売後、初めてフルで聴いて本当に感動した。往年のミスチルらしさ溢れる王道ポップと実験的サウンドが融合している。1番は前作『REFLECITON』でいうところの「fantasy」のようなミスチルお得意の王道ポップスが展開されているが、2番のサビでは一部ボーカルの加工が為されている。・・・というのも桜井の歌声にさらに桜井の歌声が被せられている。ここはネット上で賛否両論となっているが、斬新で私は好きだ。そして2番のサビ後の間奏ではドラムやベース、キーボードが目立っていて、迫力満点。何だか東京ディズニーランドのビッグサンダーマウンテンというアトラクションを楽しんでいるような気分に近い(例えがわかりにくい)。Cメロ部分では桜井のシャウトが響き渡っていて、これもまた中毒性があると思う。
 この曲は恋人と別れた主人公の心情が描かれている。タイトルの「SINGLES」は孤独となっている主人公とその相手を指したものだろうか。
 歌い出しは回想シーンから始まっている。「君は嬉しそうに、しばらく空を見ていた。東京タワーの向こうに虹が架かって。で、そのあと僕の頬にキスした」とここだけ聴くと本当にロマンチック。
 「僕は意外といろんなことを覚えてて戻れないことよくわかってたって何処かに面影を探してしまう」と主人公はなかなか相手に対する未練をかなり引きずっている様子。
 「悲しいのは今だけ。何度もそう言い聞かせ、いつもと同じ感じの日常を過ごしている」「どんな音楽も痛快と話題の映画も君の笑顔には敵わないってわかった。ねぇ君はまだあの虹を覚えてる?」というフレーズはリスナーの私までも胸が締め付けられてしまう。
 ラスサビでは少しでも主人公が前向きに考えようとしているのが窺える。「楽しいのは今だけ。自分にそう言い聞かせ、少し冷めた感じで生きる知恵もついたよ」と主人公は言っているが、それでも何だか切なくてたまらなくなる。片想いだった方も含め、失恋したリスナーの方はこの曲を聴けば感傷に浸れるんじゃないかと思われる。私自身、本作『重力と呼吸』で最もお気に入りの楽曲かもしれない。

④here comes my love
[Mr.Children『here comes my love』シングルジャケット]
ダウンロード (5)
[Mr.Children「here comes my love(Music Short Film)」]


  2018年1月19日にミスチル7作目の配信限定シングルとしてリリースされた。この曲はフジテレビ系ドラマ『隣の家族は青く見える』主題歌として起用され、同ドラマの初回放送の翌日に配信リリースとなった。私自身も購入したが、本当にリピートが止まらなかったし、それから9ヶ月近く経過した現在も好きな1曲である。
 本作はロックバラードナンバー。イントロ~1番冒頭まではピアノ中心のアレンジとなっているが、その後、バンドサウンドも目立ち盛り上がっている。2番になるとエレキギターの音色もさらに目立ち、Cメロ後の間奏部分ではギターソロの部分も存在する。小林武史のピアノアレンジが目立っていた”コバチル”期とは違う魅力が感じられる(”コバチル”期も好きですが)。
 そして桜井のボーカルも圧巻。高音も綺麗に出ていて、本当に心地良すぎる。明らかに2012年の『[(an imitation)blood orange]』の頃より声量が増しているし声も透き通っている。
 この曲は主人公と相手の運命的な出逢いがテーマになっている気がする。最も印象に残った歌詞はCメロの「あって当然と思ってたことも実は奇跡で数え切れない偶然が重なって今の君と僕がいる」という部分。・・・何だかハッとさせられる。恋愛に限らず、今自分自身が何気なく過ごしているこの”ありふれた日常”も奇跡の連続によって神様から授かった恩恵なのかもしれない。そう思うと1日、1日を大切にしたいと思う。この曲はそう思わせる意味も込めて書かれた1曲なのかもしれない。

⑤箱庭 
 ブラスアレンジが利いた1曲で、前作『REFLECTION』収録の「You make me happy」をさらにメロディを明るくしたようなイメージだろうか。そしてサビのメロディの一部が「ヒカリノアトリエ」に近似しているように感じる。何度聴き直してもどことなく似ている気がしてならない。そして、この曲のサウンドは旅行をしながら聴くと絶対ピッタリだと思う。今度、機会があれば是非試してみたいものだ。
 しかし、明るいメロディとは裏腹に歌詞はそこまで明るくない。恐らく失恋ソングだろう。序盤から「ヒリヒリと流れる傷口から染み出る赤い血の色の悲しみが胸にこぼれる」「ジリジリ寂しさは現実味帯びてくる。気づかぬふりはできない。でも認めたくない」インパクト溢れるフレーズから始まっていて圧倒される。
 「誰のための愛じゃなく、誰のための恋じゃなく不器用なままに僕はただ君を大好きでした」という部分を聴いていると本当に涙が頬を伝いそうになる。さらに終盤では「誰のための愛じゃなく、誰のための恋じゃなく、乱暴なまでに僕はまだ君を好きで残酷なまでに温かな思い出に生きてる。箱庭に生きてる」という歌詞となっており本当に生々しい表現だ。主人公のようになかなか相手の事は忘れられないものだと思う。

⑥addiction
  シンセサイザーによるイントロから始まるロックナンバー。メロディも終始シリアスで、中毒性をはらんでいる。桜井の歌い方も鬼気迫るものを感じる。サビでは「more more more!」というフレーズが多く、印象に強く残る。ラスサビの「今日は大人しく出来ても」の「出来ても」の歌い方が1~2番のサビの歌い回しと異なっていて、この部分を聴く度にドキッとしてしまう。
 歌詞もかなり意味深。インターネット上でもかなり言われているが、薬物中毒者の曲のように感じてしまう。「どんなに言い聞かせても変わらぬものがあるよ。欲しくてたまらないよmore more more!」「上級者は誰にも感づかれぬように上手いことやってるらしい。あちら側の自分とここで生きる自分を冷静にコントロールして」「今日は我慢できてもまた手を出してしまうだろう。決して満足なんかできないよ more more more!」はもう薬物中毒者の心の叫びにしか思えない。
 仮にこの曲が薬物中毒者の心の叫びがテーマだとすれば、本作『重力と呼吸』に収録した意図が気になるところだ。あくまでも推測に過ぎないが、人間の性を描いているので本作のコンセプトにも当てはまっていると判断され収録に至ったのかもしれない。
 それにしてもこの曲も控えめに言って本当に格好良く聴けば聴くほど虜になってしまいそうになる。

⑦day by day(愛犬クルの物語)

 タイトルの一部の「愛犬クルの物語」というキーワードは本当にぶっ飛んでいる。2018年9月20日にアルバム収録曲のタイトルが発表された際はあまりに遊び心の利いていたからか、「JEN(鈴木英哉)がボーカルを務めてるんじゃない?」とインターネット上で議論を巻き起こしていた。・・・しかし、実際にフタを開けてみると桜井がボーカルを担当している良質ポップ。サビ以外のメロディもとにかくキャッチ―で聴き心地が抜群。アルバムは1周目ではなかなかそこまで良さがわからなかったが、この曲は1周目から気に入った。本作『重力と呼吸』発売まで全く解禁されていなかった新曲群の中では最初にハマった曲だと思う。
 終始バンドサウンド主体だが、可愛らしい要素もある。某雑誌の特集ページには、この曲について「最高にチャーミングなロックンロール」と述べられているが、まさにその通りである。この曲のサウンドを聴くと本当に疲れも吹っ飛んでしまいそうだ。特にサビの「So day by day」の部分は気持ちいくらいに高音が出ているのがたまらない。
 この曲はその名の通り、主人公の飼い犬”クル”について描いた曲で、歌詞カードを読むだけでもクルが可愛いのが伝わってきて自然に顔がほころびそうになる。「どんな時だって嬉しそうにその尻尾を振る」「扉開く度、駆け寄り舐めている」という部分からも人懐っこい性格なのが伝わる。
 クルは主人公と妻の間になかなか子供が生まれず、その代わりとして飼ったようだ。夫婦はクルと共に幸せな日々を送っていたようだ。ただ、歌詞中の「綺麗だったあの女性(ひと)がいなくなってからも」というフレーズがなかなか意味深だ。何となくだが主人公の妻は亡くなってしまったと思われる。「今もソファに残っているあの柔らかい膝の上の温もり。夢の中思い出すように深く眠っている」とクルの様子を描いた歌詞が本当に切なく、こちらまで感情移入してしまいそうになる。
 「箱庭」と言い、この「day by day(愛犬クルの物語)」と言い、ポップなメロディに切ない歌詞を乗せるのは桜井の職人芸とも言えよう。

⑧秋がくれた切符

 本作『重力と呼吸』収録曲で最もしっとりとしたバラードナンバー。アルバムの流れにおいて「箸休め」的ポジションにメロディはタイトル通り秋のイメージで、10~11月の夕方にこの曲を聴きながら散歩をすると本当に幸せな気分になると思う。
 曲中ではストリングスも目立っていて、この音色を聴くと秋のひんやりとした空気を連想してしまう。本当に風情を感じる。
 この曲は恋人同士を描いた曲。歌い出しの「風の匂いもいつしか秋のものになってた。カーディガン着た君の背中見てそう思う」という部分も本当に微笑ましくなる。
 話は脱線するが、女の子のカーディガンを羽織った姿は控えめに言って大好きである。秋冬のシンボルと言っても過言ではない。本記事を執筆した時季からは女の子のカーディガン姿をどんどん見ることが出来るので目に焼き付けておきたい。
 さて、カーディガンの話はこのぐらいにしておく。サビの歌詞では「神様が僕らにくれた何かの切符みたいだ」という歌詞が何度かあるが、これは何の切符なんだろうか。歌詞中でははっきりと言われてはいないが、「秋の空気は恋人同士の関係を発展に導いてくれる」という意味だと私は勝手に解釈している。・・・というのも秋の空気を嗅ぐと何故か恋がしたい衝動に駆られることがある。つまりこの「切符」はそれに関連していると想像している。

⑨himawari
[Mr.Children『himawari』シングルジャケット]
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[Mr.Children「himawari(MV)」]


[Mr.Children「himawari(Live ver.)」]

 2017年7月26日にミスチル37枚目のシングルとしてリリースされた。ちなみに映画『君の膵臓を食べたい』主題歌として書き下ろされた1曲である。またタイトルに表記はされていないが、アルバム制作にあたり再録している。アルバム版の方がバンドサウンドが強くなっているが、桜井の歌い方はシングル版より優しくなっている印象。
 この曲はロックバラードナンバーでシングル発売時は「2010年代ミスチルを代表する曲になるんじゃないか」などとインターネット上で大絶賛されていた。バンドサウンドとストリングスの調和、切なさとキャッチ―さが両立したメロディが大好評だった。次に述べることはアルバム版、シングル版に共通することだが、Cメロ~ラスサビの盛り上がり方は王道中の王道で、本当に秀逸。Cメロの「邪にただ生きてる」の「る」の力強いロングトーンからの重厚なギターソロ。その後の「おおおだから」というラスサビの入り方は完璧。そして、ラスサビの「嵐が去ったあとの陽だまり」の「陽だまり」の部分の盛り上がり方、そして最後の「そんな君を僕はずっと」の「ずっと」の部分のロングトーンも初めて聴いた際は素晴らしすぎて突沸してしまった。
 この曲は恋人を亡くした主人公の心情が描かれていて、書き下ろし曲ともあり映画『君の膵臓を食べたい』の内容にも沿っている。
 私が一番ドキッとした歌詞はCメロ全体。「諦めること。妥協すること。誰かに合わせて生きること。考えてる風でいて実はそんなに深く考えていやしないこと。思いを飲み込む美学と自分を言いくるめて実際は面倒臭いことから逃げるようにして邪にただ生きている」の部分はほとんど私自身ではないか(知らんがな)。いや、私に限らず、この部分が心に突き刺さったリスナーの方も多いのではないか。・・・というか多くの日本人に当てはまりそうな気がする。このような桜井節は大好物である。本当にサウンド、歌詞両面で貫禄のある大名曲だと思う。

⑩皮膚呼吸

 2017年にNTTドコモ『25周年キャンペーン』CMソングとして起用され「未発表曲DEMO」と公開された楽曲の完成形。当然と言えば当然だが「未発表曲DEMO」ほど淡泊ではなく程よく味付けがなされている印象(ただ、アレンジはバンドサウンド主体)。
[NTTドコモ『25周年キャンペーン』]
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 この「皮膚呼吸」は本作『重力と呼吸』店着日(2017年10月2日)からネット上では絶賛の嵐だったが、私自身はこの日やその翌日の時点ではその良さが正直判らなかった。しかしフライングゲット(以下フラゲ)からの日数が経過し聴けば聴くほど、自分の中での印象は鰻上りとなり、フラゲから1週間弱で大好きな1曲となった。ネット上でも同様のコメントがされていたが、サビの盛り上がり方はアルバムと同年発表のBank Band with Salyuの楽曲「MESSAGE‐メッセージ‐」に似ている気がする。
[Bank Band with Salyu「MESSAGE-メッセージ‐」]

 皆さんもご存知の通り、タイトルの一部がアルバムタイトルと重複している。もうこの時点でアルバムのテーマを凝縮した1曲と想像してしまう。
 歌詞は2018年現在の桜井の心境が吐露されている。歌い出しでは「と、ある日こめかみの奥から声がして”それで満足ですか?”って尋ねてきた」という歌詞があるが、それに対して「このまま変わっちまう事など怖がらずにまだ見ていたいのに…」と綴っている。ミスチルのアルバムカラーはそれぞれ異なっている。2010年代だけ切り取ってみても『SENSE』『[(an imitation)blood orange]』『REFLECTION』、そして本作『重力と呼吸』はそれぞれ雰囲気がバラバラである。これは「皮膚呼吸」の上記の歌詞のようにミスチルは”変化を恐れないバンド”だからなのかもしれない。ミスチルはデビューから25周年を過ぎても安定を求めず、常に冒険している。この曲を聴くと『重力と呼吸』は収録曲数こそは少ないが、歌詞の内容に着目すると変化を恐れないミスチルの渾身の意欲作というのがヒシヒシと伝わってくるし、今後の活動も本当に楽しみになる。

◯まとめ
 記事冒頭では触れなかったがアルバムタイトル『重力と呼吸』は短縮すると『重吸』。本作は19枚目であることから、その省略形『重吸』と合致する。これが意図的なものか偶然なのかは定かではない。ちなみに9枚目のアルバム『Q』というタイトルも特に意味はないらしいが、今回はどうなのか地味に気になってしまう。
 本作は10曲と曲数や収録時間が少ない分、前作『REFLECTION』よりも気軽にリピートすることが出来る。そして、全体的にあっさりとしたアレンジなので最初のインパクトこそは少ないが、アクが少なく聴きやすい作品だと思う。次のアルバムも今から楽しみである。
 さて、今回の記事はここまでとする。ちなみに本作の詳細が解禁される前に予想記事も書いたが、結果的に大外れとなった。駄文ですが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。見出し画像はAmazonのサイトより引用いたしました。

 

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